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ボケ防止の為のブログ

感想:羊の木

 

    今回は嘘感想じゃないです!!そして書きやすさ故にまた偉そうな口調になってますがめちゃくちゃ面白くて展開にコロコロ転がされた人間の感想なので気にしないでください!!

    ⚠︎以下ネタバレです!!注意!!!⚠︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全体的な感想は、やり直そうという意思のないものが軒並み脱落していくところがなかなか勧善懲悪で気持ちよく、意思のある人は居場所をみつける、希望とまでは言わないまでも信じていることが叶う、そこがなにより良かった。こういった日常の中の狂気を描くものは狂気を描きすぎて不条理になっているものが目立つし偶に不愉快になる時があるので嬉しい。観た後のつっかえ等はなく気持ちが良いと言っては少し語弊があるが、帰り道に手羽先を食べられた。それくらいの感じ。
 
 今回の映画は錦戸亮が主演ではあるが、正直なところ松田龍平とダブル主演でも良かったのでは?と疑問が湧くほどに印象的であった。展開的に言えなかったのか?と邪推したくなる。
 先程も述べた通り、この映画は努力が報われていくと感じた。だからこそ、一人、また一人と居場所を見つけ、もう一度人生を歩んでいく。また、居場所は見つけられなくとも信じている小さなことが叶い、微笑みを取り戻す。松田龍平の演じる宮腰はその居場所も見つけるも、錦戸亮演じる月末が秘密をバラしたことにより一つ無くしてしまい、罪を重ね、それでもなお繋ごうとした月末との最後の繋がりを自らの手でたってしまい、最終的にのろろ様の罰を受けることになる。このように述べると月末が悪い人間に見えるし私もそう感じたが、後々の反応で宮腰にとってそれは些細ではないにしろそこまで気にしていないように見えた。宮腰がまた罪を重ねてしまうのは、杉山の言う通り蠅を殺すような感覚であるのであれば。

 のろろ様が宮腰に罰を与えた、と感じたのは、以下の理由からだ。敢えてここに観た直後のメモ書きを置きたいと思う。


 もしあそこで月末が手を伸ばさなかったら?宮腰は一人で死んでいたかもしれない、月末の、必死であるがゆえの無意識の救済の手が、最後に宮腰の罪を重ねてしまったのかもしれない、と考えると非常に悲しい物語で、だからこそのろろ様は自らの手で罰を与えたのかも、ギリギリまで宮腰の目に、涙が溜まっていたように思う。愛そうとした人が、過去を知って離れてしまった、それでも月末は、一人の友として接してくれようとしていた、もしかしたら少年院にいた彼は、クラスメイトとの、若い惚れた腫れた、に憧れていたのかもしれない。「もし月末くんが彼女のことを好きだと知っていれば、僕は付き合わなかったよ」「月末くんといると、昔から一緒だった気がする」それは好きな人を取り合って、仲違いをした(してしまいそうになった)一連も含めての台詞に聞こえた。自分のことを聞いてきた時も、秘密を言ってしまった時も、月末は「友達として」接していた。そんな月末を裏切るような行為をしたからこそ、彼はあのような最後を迎えたのかもしれない。


 自分はまず、宮腰は月末を恨んでいるのではないだろうか、と思っていた。しかしそれは少し違うようで、確かに月末の家にいきなり宮腰の車が止まっていた時は殺しに来たんじゃなかろうか、と胸が騒いだ。しかし二人の会話の途中で寝てしまった宮腰、そしてその横でつい寝てしまう月末を見て、寝れる環境下ではあったのだ、と見れた。よっぽどの強者であれば、殺人犯を前にしても寝れるかもしれないが、月末はヤクザを前にすると怯みまくって出そうとした名刺を叩かれた後、何も言えなくなるような、要するに普通に生きてきた人間だ。寝れる、という事は、多少ピリピリしていても安心出来るような空気であったと言えるのではないか。片方が本当に恨み辛みを抱えていたら、月末が鈍感すぎる点を見ても流石にそうはならないと思った。(ここに関してはというか全てにおいて、まだふわふわとした考察なのでもし違うのでは?という意見があれば教えて頂きたい)ともかく、個人的な印象として、あのシーン以降の二人は「誰の事も関係の無い、二人だけの世界」にいたのではないか、と感じた。そこがまたいじらしくそしてもどかしく、胸を突く。あの雰囲気を作り上げる二人の俳優に拍手をしたくなる。そして最後、メモ書きにあったように、自分のことを聞いてきた時も、秘密を言ってしまった時も、月末は「友達として」接し、謝り、いきなり家に来ても上げてくれ、ギターも教えてくれるような、冒頭で宮腰自身が言っていたが、「いい人」なのだ。多少は間違いがあっても素直に謝れる、近所に子供が住んでいたら、あのお兄さんを見習うんだよ、と言われていても良さそうな人。そんな彼に手を伸ばされてもなお、その手に逆らって岬の下に引っ張って、共に落ちていく……なんというか、なんというか…という結末である。

 

 彼に対しての記述の最後に、彼は死のうとしていたのか?と、上げたい。浮き上がってきて必死に藻掻いていた姿は形容しがたく、もし彼が、他の4人のように「きちんと更正しよう」ともがくのであれば、どこかで、「これが自分なのだ」と諦めなければ、そのような不毛な考えをしてしまいたくなり、同時に愛おしさが沸いてくる。そのような世界を望んでしまう。胸が苦しくなる。6人の中で、子供たちと遊んでみたり、友達を欲したり、ふざけてみたり、1番この街に馴染もうとしていたように見えたから。それでも人殺しはどんな罪より重く、杉山のような悪意、自分本位で罪を犯そうとしていなくても(それでも彼は殺人はしようとはしていなかったが)同じだけの重みが落ちてくる。いつの間にか自分は「宮腰」という人を更正する人だと「信じて」いて、そして裏切られてしまっていた。見事に制作の意図にはめられたのだ。まだ一回目なので取り切れていない部分があるかもしれない、それを掬いにもう1度行っても良い、そんな風に思えた。あとハチャメチャに優香がエロい。びっくりした。


 他の俳優さんについても書きたいがキリがないかつ正直宮腰でいっぱいいっぱいだったので、落ち着いたり余裕が出てきたりなどした時にひっそりと追記なりをしたいと思う。今は優香がエロかったとしか言えない。人妻はすごい………